国連と追悼する 戦後(被爆)80周年平和コンサート
- Emi Norimatsu

- 6月1日
- 読了時間: 4分
更新日:6月5日
終演いたしました。たくさんのお客様にご来場いただき、誠にありがとうございました。

広島市・長崎市共催事業
「国連と追悼する戦後(被爆)80周年平和コンサート」
広島公演
2025年6月1日(日)16時
広島市 西区民文化センター
伊藤玲阿奈 (総監督・指揮)
小蔦寛二(ピアノ)
丸子ようこ(司会)
乗松恵美(ソプラノ) 佐々木有紀(アルト)
中東駿(テノール) 安東玄人(バリトン)
広島市民による合唱(指導・折河宏治)

演奏プログラム
ベートーヴェン
交響曲 第9番 第4楽章『歓喜の歌』
尾上和彦
オラトリオ《鳥の歌》より Ⅳ.継承 より 導入部〈ナガサキの声〉
山田耕筰
《赤とんぼ》
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指揮の伊藤玲阿奈さんが企画・総監督をつとめられる、
戦後80年への深い祈りを込めたコンサートでした。
第九は全国各地で多く演奏される演目ですが、今回の公演では、伊藤さん自ら第九の音楽・歌詞を読み解きながら演奏を並行するレクチャーコンサート形式の演奏でした。
ホールが、伊藤さんの平和への祈りの情熱や音楽への惜しみない敬意と愛に溢れた空間でした。
私自身、第九のソプラノソロは何度か歌わせていただいており、学生時代に合唱に参加したこともあって、内容は知っているつもりでしたが、今回の解説ではベートーヴェンが作曲に至るまでの経緯、シラーの詩に作曲家が込めた思いを、部分演奏によるプレゼンテーションを交え、まさに第九を満喫するためのコンサート、といった内容でした。
私にとって第九のソプラノソロは「なんでこんな音域が連続するんだろうか」(正直歌いづらい)という個人的な理由で、それほど愛着がある曲ではありませんでした。もちろん今でも、私にとっては難易度の高い曲であることは変わりないのですが、一番の山場であるソリスト4人の終盤部分を「オペラアリアのようにではなく、祈り深い聖歌のように歌ってほしい」という伊藤マエストロのアドバイスが、私の身体を急に楽にしてくださったように感じました。独りで練習していると歌いづらい部分が、マエストロの指揮と、共演のみなさんとの呼吸といっしょになると、身体が想いについてきてくれるようになったような気がしました。
第九につづいて、尾上和彦先生の《鳥の歌》から、新しく追加された〈ナガサキの声〉を、テノールソロで中東さんが歌われました。演奏の前に、司会の丸子ようこさんが、慈愛深いお声で歌詞になっている「ナガサキ平和宣言」の一部を朗読され、舞台上にいるにもかかわらず、涙がじわじわと止まらなくなりました。博士論文で尾上先生の《慟哭》を研究テーマにしていたこともあり「突き動かされるような強い想い(憤怒を含むような祈り)」の音がピアノパートに現れた時、尾上先生がご自身の魂を曲に分け与えるような思いで祈っていらっしゃるように思えて、ステージの上ながら、自然と一緒にお祈りしておりました。
そして《赤とんぼ》。混声合唱版に編曲された演奏の中に、ソリストたちも参加させていただきました。《赤とんぼ》は自分のコンサートでも非常に多く歌わせていただいている曲ですが、今回のこのコンサートの祈りの最後に「平和の原風景」として奏でられる美しい合唱のみなさんのお声に、涙が抑えられませんでした。
ゆうやけこやけの 赤とんぼ 止まっているよ 竿の先
以前、とあるコンサートで赤とんぼを歌った時、終演後にお客様から 「竿の先に止まっている赤とんぼは、イエス・キリストの十字架の形、ひとりぼっちになったと思ってしまう時にも、神様がそばにいてくださっている、という、クリスチャン三木露風の祈りなんですよ」
とお聞きしたことがあります。
どうかどうか、世界の隅々までこの祈りが届きますように。
とても幸いなことに、8月にも広島と長崎で第九ソロを歌わせていただきます。
今回の宝物の経験を、8月の演奏に繋いで行きたいと思います。

素敵すぎる共演者のみなさま、本当にありがとうございました。
舞台上ではたくさん涙を流し、楽屋では愉快な仲間たちのみなさんが楽しすぎて、表情筋が痛くなるほど笑わせていただいていました。
音楽のかみさま、私を幸せにしてくださって、ありがとうございます。これからも出逢うみなさんに、音を通してお礼を申し上げられますように。
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