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  • 執筆者の写真Emi Norimatsu

Tannhäuser タンホイザー通し稽古



 いよいよ、来週末が本番!本日、2組とも通し稽古を終えて、いよいよオーケストラのみなさんとの歌合せとGPを残すのみとなりました。感染対策のための稽古場換気&マスク厳守の稽古も、もはや定番となっています。


 今回、わたくしが歌わせていただくエリーザベトは実在した人物で、聖人として死後に列福された方だそうですが、オペラ《タンホイザー》のキャラクター設定との共通点はヴァルトブルク城にいたという以外、ほぼありません(笑)


 タンホイザーの物語には二人の女性が登場しますが、わかりやすく「聖」と「俗」に対比する位置にいる人物像として描かれています。(あ、ひとりは女神様だw)右の写真は、26日公演組の女神様とタンホイザー様です。

 女神ヴェーヌスは「俗」というより「生命本来の欲求の輝きそのもの」のような存在です。生きる上での欲の象徴として描かれていますが、彼女が話していることは、実は女性として真っ当で、愛する人と一緒にいたい、裏切られたら怒り狂うほど哀しい、といった魂の叫びに率直な言葉を紡いでいるように思います。現代の視点だと怒って当然じゃないか?と思うのですが、ワーグナーの時代だととんでもない大それた発言、ということになるんでしょうねぇ(細目遠目)


 一方「聖」担当のエリーザベトは、個人的に「ハァ?」といいたくなるくらい「いい人」なセリフを吐きます。正直、歌いながら「・・・偽善者」と呟きたくなってしまいます。

 ・・・ということで、私はこの役のご依頼をいただいてからずーっと、なかなかエリーザベトという人が好きになれないままでした。

 愛する人に酷い裏切りをうけた直後に「あなたのために祈ります」って、正気かい?

(もしくはそういう性癖か?または男性に都合良すぎな女性像かよ)←ひどすぎる暴言連発


 文献によると、実のところ、実在の聖人エリーザベトは生前、ヴァルトブルクの民衆にはあんまり人気がない人だったらしいです。奉仕を積極的に行っている女性だったそうですが、民衆のためというより「献身的な自分の姿に自己陶酔するのための行為」というのを見透かされているかのように「偽善者だ」と言われていたそうで。・・・そう読むとなんか気の毒な気もしてくるのですが、ちょっとオペラのエリちゃんと共通点を感じました。

それでも、善を貫き通せることはもちろん尊いことだと思います。(一応フォロー)

実在の人物だったなら、尚更、です。


 では、オペラのエリちゃんことタンホイザーのエリーザベトは、ずーっと自己陶酔のままの人だったのか。

 自分の心身を犠牲に誰かの救いを得る、というのは、キリスト信徒にとっては殉教そのもので、最高の誉として憧れと高揚感があるものだと思います。でも、本当に自分の言葉を体現できるほど、エリーザベトは強い人だったのかというと、私は、多分違うと思っています。

  「愛する人の救いのために祈る」

  「祈ることが自分の使命」

  「私の命のすべてはそのためにある」

と力強く歌うシーンがあります。もちろん本気で言っているのだと思いますが、多分理想の虚像を自分の使命として、陶酔しているんじゃないか。。。


 その後、贖罪の巡礼の旅を終えて自分の元に帰ってくる、と信じて待ち続けた愛する人が、巡礼者の列の中にいなかった時、彼女は打ち砕かれます。

 巡礼者たちの神への讃美の言葉が、望みを砕かれた彼女をこれ以上無いほど打ちのめすのです。  人間の決意や信念の脆さ、それを受け入れざるを得ないと気がついたエリーザベトが、呻くような祈りの中でようやく気がついたことは・・・


 あんまり書きすぎると舞台前にネタバレすぎますので、このへんにしておきます。  今は、私にとってエリーザベトの言葉は、陶酔する弱さも含めて、愛しい役です。


 そして、この祈りのシーンの後、エリーザベトを幼い時からずっと見守り続けてきた騎士ヴォルフラムの、夕星の歌は、ほんとうぅぅに美しいです。舞台袖で泣いてしまいます(もう歌わないから泣き放題👍)

 ワーグナーの音楽の中には、彼女の弱さや苦悩への救いがこれでもかい、ってほど描かれていると思います。終幕、最後のシーンは稽古場でいつも号泣してしまいます。


 神様は、ダメなわたしも、ちゃんと救ってくださるんだよ


って言ってもらえているみたいで、嬉しくて嬉しくて泣いてしまいます。


ダブルキャストで同役の河部真里さんと「ワーグナーのおっさん、やりよるな、泣けるわい」といつもホロホロしています(笑)


みなさまも、この喜びを是非、ご体験ください

2月25日&26日、アステールプラザ大ホールでお待ち申し上げております。

 公演詳細はこちら をご覧ください (チケットのご用命はこちら へどうぞ)



🥞おまけ🥞 

「ちょっとゆっくり出勤稽古スケジュール」の時に開催した

「独りパンケーキ祭り」の様子です

とろとろバターが落ちそうで急いで撮影しました!(笑)

さすがに食べきれなかったww ので、

残りは翌日の朝ごはんになりました


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